藤川賢 除本理史編著『放射能汚染はなぜくりかえされるのか』
福島民友 2018年5月12日号より
復興への教訓 多角的に
著者らは、環境政策や社会学などの研究者。過去に国内で発生した放射性物質に関係する問題が地域や社会に与えた影響を分析し、東京電力福島第1原発事故からの本県復興への教訓を導き出そうとしている。
扱った事例は広島・長崎野原発被害や鳥取県のウラン鉱毒問題、茨城県のJCO臨界事故など幅広い。それぞれが社会に問いかけた課題を明確にした上で、健康調査や除染による環境回復、地域の合意形成などの分野で本県の課題解決につながる視点を提示している。
放射性物質による汚染が形を変えて繰り返される理由については、過去の事例で得た教訓を特定の地域の問題として「局所化」し、社会全体で共有しないままに風化させたためと分析する。
原発事故が本県に与えた影響とは何だったのかを、多角的に考えるガイドとしても活用できる。
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